東日本大震災の発生から8年11カ月となる11日、津波の被害を受けた福島県南相馬市の沖合で福島海上保安部などが海中捜索を行い、行方不明者の手がかりを捜した。沿岸では「かすかな望みにかけたい」と不明者の家族が見守った。
午前9時半、同市鹿島区南右田の沖合約500メートルで潜水士8人が小型ボートから海に献花し、黙禱(もくとう)した後に捜索を開始。計2時間半、深さ約10メートルまで潜り、海底の砂の中などを手探りで捜したが、遺留物は見つからなかった。
近くの防潮堤には不明者を捜す家族ら約10人が集まった。海から200メートルほどの一軒家に住んでいた同市の門馬麻野さん(41)は、地震後に出動した消防団員の夫の孝文さん(当時35)と義父母が行方不明のままだ。「今も家族が亡くなったという実感がなく、帰りを待つ自分がいる。手がかりを見つけてほしい期待の一方で、遺体が見つかるのが怖い気持ちもある」と話した。
今回の海域での捜索は初めてで、不明者の家族ら約150人が市に嘆願書を出して実現した。警察庁によると、震災では昨年12月時点で、宮城や岩手など6県で計2529人が行方不明のままだ。(飯島啓史)
Source : 社会 – 朝日新聞デジタル